子犬を蹴る黒人

生後13週間の子犬(ポメラニアンとプードルのMix、英語でも Pomapoo 「ポマプー」と言うらしい)をもらったのが去年の12月23日のこと。
ピラフ君と名づけて我が家の一員として迎え入れた。当時の体重はちょうど一キロで、遠目には巨大なハムスターと大差ないくらい小さかった。最初はよちよち歩いていたが、さすがに子犬の成長は早く、今では家中を飛び回って悪さばかりしている。
10週、12週、14週と続いた子犬用の注射も終わったので、そろそろ散歩デビューが近づいてきた。そこで、先週の日曜に家の周りを走らせ、縄をつながないまま近所を一周することにした。ロープにつながなかったのは、まだ片手にのるくらいの大きさで繋ぎにくいということが一つと、もう一匹のワンワン(ポトフ君4歳)と二本の引き綱を持つのが難しそうだったから。
天真爛漫なピラフ君は主人(人民兵)の横に並んで、道路脇の芝生の上を嬉しそうに跳ねている。
親ばかなどではなく、誰がなんと言おうが可愛いものは可愛い。
道路をわたって、いつもの散歩道を歩いている時、隣の家に住んでいる黒人男性が家から出て車に乗り込もうとした。
繰り返しになるがピラフ君は天真爛漫なので、遊んでもらいたくてその男性のところへ道路を渡って一直線に走っていった。
呼んでも戻らないので『こりゃいかん』と思って、私も道路の向こう側へ走っていくと、ピラフ君はその男性の足の間で短いしっぽをピョコピョコ振って喜んでいる。
彼はあまり子犬に興味がなさそうだったが、とりあえずは大丈夫そうなので、『そーリー』と言いながら笑顔で歩み寄っていくと。
その男は何も言わず、足元にいる、彼のくるぶしほどの大きさしかない、可愛い子犬を蹴り始めた・・・
『お? おおお?? ええーー??』
最初はわけがわからず、一瞬動きが止まってしまったが、慌てて彼にかけより足元から子犬を救いだした。
助け出してから
You're stupid! You fucking stupid! とピラフに大声で怒鳴ったが、それはピラフ君ではなくて、黒人のおっさんに言った言葉だった。彼は何も言わず車に乗り込みその場を去っていった。(注:まともな人間はよっぽどのことがないかぎりこの F ワードは使いません。人民兵も平均して年に一度は使っていないでしょう。我々が想像するよりずっと悪い意味を含んでいるので注意しましょう)
確かに、犬を繋がなかったのはこちらが悪いけど、あんな小さい子犬を蹴りますか???
家に帰って、『今日黒人のおっさんに子犬を蹴られたよ』と報告して酷い奴だ酷い奴だと愚痴を言った。
『俺なら子犬より、あの黒人のおっさんのクビに縄をつける』
と私が言うと、
それは外では絶対に口にしてはいけませんと念を押されてしまった。
どんな時でも、常識を守れる人間というのはこの世にいるものだと思った次第
- [2006/01/19 15:57]
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パット・モリタ

古い新聞を読み返していて、パット・モリタ氏が去年の11月に亡くなっていたことを知った。
このことは11月29日付ニューヨーク・タイムズの論説にも記事になっている。
日系人俳優パット・モリタが感謝祭の非にラスベガスで亡くなった。73歳だった。
1967年に「モダン・ミリー」で「アジア人No.2」として映画デビューして以来、モリタ氏はずっと現役を貫いた。当たり役としては、映画「カラテ・キッド(邦題ベスト・キッド)」のミヤギ師匠が有名だ。しかしそれ以外は、40年近くにわたって果てしない脇役の道が続いた。台本にアジア人のタクシー運転手やバーテンダー、下手な英語で鋭い警句を言う役がある時、彼ほど頼れる存在はなかった。
(日本語約:US Frontline 編集部、人民兵注 アジア人No.1はブルースリーのこと)
1967年に「モダン・ミリー」で「アジア人No.2」として映画デビューして以来、モリタ氏はずっと現役を貫いた。当たり役としては、映画「カラテ・キッド(邦題ベスト・キッド)」のミヤギ師匠が有名だ。しかしそれ以外は、40年近くにわたって果てしない脇役の道が続いた。台本にアジア人のタクシー運転手やバーテンダー、下手な英語で鋭い警句を言う役がある時、彼ほど頼れる存在はなかった。
(日本語約:US Frontline 編集部、人民兵注 アジア人No.1はブルースリーのこと)
記事はこの後、『モリタ氏は紋切り型のアジア人しか必要とされないシステムの中で苦労した最後の世代だ』と続く。
アメリカに住んでドラマやコメディを見たり、音楽を耳にしても、日本のサブカルチャーの素晴らしさは際立っていると思う。単純な歌唱力・表現力では劣っているように見えるかもしれないが、底に流れるメロディラインやメッセージ、笑いのセンスは世界に比類ないものだと人民兵は信じる。
時代も変わって今では『紋切り型』のアジア人俳優だけを必要とはしていないと言うが、やはりテレビをつけても映画を見ても、まだまだアジア系の活躍する場は極めて小さいと言わざるをえない。
吉田栄作がハリウッド進出を試みて失敗したが、あれは本人がどうのこうのと言うよりは、カンフーの達人でもなければ忍者でもないアジア人男性の役柄が、こちらの芸能界に皆無だったということに原因が大きい。
ミヤギ師匠の冥福を祈りながら、日本人の一層の活躍を期待する今日この頃である
- [2006/01/18 15:15]
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キス

一番楽しみにしていた大晦日の格闘番組がようやく近所の日本ビデオレンタルにやってきたので、早速借りた。リアルタイムで見られないのは少し寂しいが、ネット等で結果を知っていてもそれなりにハラハラして楽しかった。
吉田秀彦に一本負けした小川直也は、実力の無さを天下に知らしめたし、『片ヤオ(相手による手抜き)』で試合らしい試合をさせてもらった俳優の金子賢は、株を大きくあげた。
全般的に楽しめたが、一つ残念だったのは、TBS系K−1ダイナマイトでの一大事件、元レスリング日本代表の中尾芳弘対テキサスの暴れ馬ヒースヒーリングの一戦が地上波で完全にカットされていたことだ。
格闘技に興味のない人はご存知ないかもしれないので、何があったかを簡単に解説すると、試合前の睨み合い時に顔を近づけて一触即発の両者⇒何を思ったかヒースの唇にキスをした中尾選手⇒怒ったヒースが中尾の顔面を殴る⇒気絶した中尾は試合続行不能⇒ヒースの反則負けという流れになる。
というのがマスコミの論調だが、ファンには『中尾は神になった』と概ね快く受け入れられているようだ。体格で劣る日本のヘビー級選手の中で、将来を期待される数少ない逸材だっただけに、この結末はファンの期待を裏切ることになった・・・
幾つかのサイトやなんかを見たが
『ヒーリングはこれがファーストキスだったらどうするんだ』というコメントが一番面白かった。閉鎖的なテキサスからきた来た人間に、男同士のキスは冗談にもならなかったというところか。
- [2006/01/16 05:50]
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『嫁はん』の呼称
『嫁はん』の呼称にも色々あって、Feminism の発展してきた現在ではどの言葉を使うか慎重に検討しなければならない。今まで敬語として立派に活躍してきた奥さん(奥様)という単語も、女は奥に引っ込んでいるものという概念を含んでいるので、使い方を誤ると失礼になる。
そういうことに一番気を使っていると思われる古い友人などは電話口で『うちの妻が・・・ ツマが・・・』と話していた。K大博士課程で差別なんかを研究している彼が、その”妻”という表現にたどり着くまでに要した道のりは想像に難くない。
それでも、己の嫁はんを相手に紹介する時は、自分と嫁はんの関係だけ考えればいいのでまだ楽だ。『愚妻』『かあちゃん』『かみさん』『女房』『うちのやつ』『俺の奥さん』で通用する。
問題なのは相手の嫁はんのことを尋ねる時だ。
目上の人に『先生の奥様もお元気にお過ごしでしょうか?』と尋ねようとして、心の中で一瞬(こいつは女性を蔑視しとるな)と思われるんではないかと身構えてしまう。
これが英語ならワイフ・パートナーという一言で住むのだがら、日本語の難しさをつくづく感じてしまう。
ちなみに恩師の『嫁』に対して使ってはいけない順に
『先生のかみさん』
『先生の女房』
『先生の嫁さん(嫁はん)』
『先生の花嫁(花をつけても駄目)』
『先生の奥様(奥さん、奥方、XXX)
『先生の愛する人(愛してない可能性が高いので)』
『先生の伴侶』
で、考えたのだが
『先生の結婚相手』というのはどうだろうか??
そういうことに一番気を使っていると思われる古い友人などは電話口で『うちの妻が・・・ ツマが・・・』と話していた。K大博士課程で差別なんかを研究している彼が、その”妻”という表現にたどり着くまでに要した道のりは想像に難くない。
それでも、己の嫁はんを相手に紹介する時は、自分と嫁はんの関係だけ考えればいいのでまだ楽だ。『愚妻』『かあちゃん』『かみさん』『女房』『うちのやつ』『俺の奥さん』で通用する。
問題なのは相手の嫁はんのことを尋ねる時だ。
目上の人に『先生の奥様もお元気にお過ごしでしょうか?』と尋ねようとして、心の中で一瞬(こいつは女性を蔑視しとるな)と思われるんではないかと身構えてしまう。
これが英語ならワイフ・パートナーという一言で住むのだがら、日本語の難しさをつくづく感じてしまう。
ちなみに恩師の『嫁』に対して使ってはいけない順に
『先生のかみさん』
『先生の女房』
『先生の嫁さん(嫁はん)』
『先生の花嫁(花をつけても駄目)』
『先生の奥様(奥さん、奥方、XXX)
『先生の愛する人(愛してない可能性が高いので)』
『先生の伴侶』
で、考えたのだが
『先生の結婚相手』というのはどうだろうか??
- [2006/01/13 02:00]
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中島らも氏・・・と会ったことがあるような気がする

学生だったころ、ろくに学校も行かずにブラブラしていたことがあった。一応バイトなんかもしていたと思うが、今思い出しても何を食べていたとかいう記憶すらない。
その頃に用もないのによく新世界界隈を歩いて、汚い場所・胡散臭い場所なんかを探していた。弓道場で遊んだり、日本で唯一換金のできるスマートボールや手打ちパチンコで手銭を失ったり、指輪やネックレスでキンキラに飾った名物爺さんがいつも同じ席で打っている将棋を眺めたり、入場料1000円の演芸場でおひねりを投げたり、そんなことばかりしていた。
当時は退屈で退屈で死にそうだったが、今思い返すと充実した素晴らしい時間だったように思う。
新世界は基本的に労働者と浮浪者の街で、辺りには1000円以下でとまれるドヤ(宿の隠語)が多くあって、それらには
『ゆったり3畳、カラーテレビ付』
などと、常識では考えにくいキャッチフレーズが貼ってある。
ある平日の昼過ぎ、新世界の目抜き通りである『じゃんじゃん横丁』を歩いていた時、一軒の立ち飲みやから小柄なおっさんがふらついた足取りで出てきた。
「中島らも」だと直感的に分かった。
それまで本は読んだことがあっても、らも氏の風貌を知っていたわけではなかったから、どうしてそのおっさんをらも氏だと断定できたのかは分からない。ただ、それから十年以上の月日が流れ、今手元にある中島らも氏唯一の長編小説『ガダラの豚』の著者近影の写真と、脳裏にある彼の姿が一致する。
彼自身がアルコール中毒患者であり、新世界という”大のおっさんが人前で平気で野グソする”一種独特の空間に非常に興味を持っていたというのは後で知った。
ところで、らも氏は著作『頭の中がカユいんだ』という作品の中で天王寺・新世界の立飲みやのすさまじさをこう書いている
僕がゆっくりと飲んでいると、右にすっと人影が現われ、百円玉を二枚、パシッとカウンターに叩きつける。
「さけ・・・」
僕が、鯨のベーコンか何かをしがんでいて、三、四秒して、ふっと右を見ると件のご仁はもう影も形もあとかたすらもない。酒の一合を、台上にパシッと叩きつける二百円で買って、寸秒で飲み干し、顔の見分けもつかないうちに店を出る。これが新世界のやりかたなのだ。
今度は左に人影がくる。パシッ。二百円。二、三秒。またいない。何か手品を見ているようだ。
(中略)
この人たちは、おおむね無気力である。初めて新世界を訪れる人が、よく恐れるような暴力性は持ち合わせていない。彼等は電信柱から電信柱へと、その距離を辿り着くのが精一杯なほどに消耗している。そして、その電信柱ごとに立呑み屋が待ち構えている。彼等は二百円をポケットから探り出して払う。そして、百八十ccの液体を寸時に飲み干して、店を出る。次の電信柱をめがけて・・・
この愛すべき本をアメリカの古本市で入手した。
久しぶりに読んだが、らも氏の鬼才ぶりが如何なく発揮されていて素晴らしい。
私には確証はないが、直感だけであの日すれ違ったと信じる中島らもが、私と同様部外者でありながら、同じような時間をあの異常な新世界という街で過ごし、そこの思い出を綴った本を、自分がシアトルで手にしていることをなんとなく幸せに思う
- [2006/01/09 17:50]
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