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インド旅日記その17:アグラ~ジャイプール 悲惨なバスの旅

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2009年9月11日金曜日:アグラ~ジャイプール後編


<<悲惨なバスの旅>>
予定より10分遅れでバスは出発はしたものの、完全に満席ではなかったためにぜんぜん目的地には向かわない。市内のあちこちをまわって『ジャイプール!ジャイプール!』と客引きをしている。(はよ行ってくれや!)と最初はこちらもプリプリしていたが、そのうち諦めた。まあ仕方ない。インド人が空気を運ぶわけはないもんな。とにかく誰か乗らないことには現地に行かないのはわかっているのでもうどうでもよくなってきた。


痙攣をひきおこして倒れた男と、男の口にスリッパを押し付けた老婆(写真が小さくて申し訳ない)
rouba-taoreruotoko.jpg


その時、停車したバスから外を見ているとふと二段になった道の段差から男が倒れて転げ落ちた。男はうつぶせのまま少し横を向いて激しく痙攣を起こしている。バスの位地からは男の顔は見えないが、人の体が今まで見たことのないような勢いで硬直したまま激しく上下に震えている。ただごとではない雰囲気に背筋がぞっとした。すると、男のすぐ前にブルーシートで”家”を作って生活していた老婆が立ち上がり、ひどく痙攣する男を横目に隣の”家”で昼寝していたおっさんのサンダルの片方を手にして戻ってきた。


何が始まるのかと思ってみていると、老婆は痙攣する男の口元へ無表情のままサンダルを押し当てた。男の痙攣は少しづつ小さくなりやがてパタりとおさまり男は動かなくなった。
『あ、死んだ』私がそう思うとほぼ同時に、老婆は男の口元からサンダルをはずし、それを昼寝している隣の親父の足元に戻した。昼寝をしていた親父は自分のすぐ足元で人が死んだことなんて知る由もないだろう・・・ そう思っていた矢先、男がむくっと立ち上がった。そのまま男はふらふらした足取りで、しかし何事もなかったように私の乗るバスを横切りあちらのほうに歩いて行った。私は何が起こったのかよくわからなかった。こういった光景は日常茶飯事なのだろうか、あの老婆は痙攣していた男を知っていて、こういうことがよく起きるという話でも聞いたことがあったのだろうか。過呼吸の対処法でも知っていて彼が吸う息のコントロールをしてあげたのだろうか、それとも彼の口から吐瀉物が出ないように他人のサンダルで押えていただけなのだろうか、この疑問が解消することは永久にないと思うが、とにかく背筋のぞっとする光景だったことは間違いない。


しばらくして満席となったバスはようやく西へ向けて走り出した。砂漠へ続く道だけあって、少しづつ少しづつ太陽が暑くなってきているのが車内からも判る。果たしてこれは『高速』なのだろうか、料金所を越えて制限のある車道に入っても牛に荷物を曳かせたおっさんの姿を何度も見る。その後幾度となく料金所や検問のような場所を抜けてバスはひた走った。ある検問所を越えて数百メートル離れたところのこと、何気なく外を見ているとバスがスピードを落とした。窓の外を見てみると、インド人が集まっていてバスの乗客と目が会うと『見るな・見るな』という感じで手をやってこちらを追い払うしぐさをした。次の瞬間、血まみれで道に倒れている一人のおっさんが目に入った。どうやら車に轢かれたのだろう、状況を見て『死んでいる』のは一目でわかったが、周りに車はない。轢き逃げにあったということだろうか。日本・アメリカで何十年も生きているが、人が車に轢かれて死んでいるのを見たことはなかった。発作を起こしたおっさんとひき逃げされた死体、ほんの6時間ほどのバスの旅がなんと印象深いのだろうか。


ところがこのバスの旅はそれだけでは終わらなかった。



人生初、ウンコ中を間近で見られた
夕方4時くらいだろうか、バスは少し汚れたバザールのようなところで停車した。食事休憩らしいが、バスの乗客40人くらいで誰一人カタコトの英語も話さないので、何分休憩するのかもわからない。
とにかく外に出て体をのばす。特に腹は減っていなかったが、何か口にしようか迷って10ルピー(20円)ほど出して揚げ物の上にカレーをまぶしたスナックのようなものを買った。

美味しかったがそれが間違いだった。30分ほど停車してそろそろ出発だというバスに乗り込んで休んでいるとお腹が猛烈に痛くなってきた。これはやばい。もちろん車内にトイレなどないし、目的地までの数時間我慢できるとは到底思えない。これは多少恥ずかしくても今行くしかない。


隣の客数人に『腹が痛い、トイレに行ってすぐ戻ってくるから』と身振り手振りで伝えてバザールに戻る。トイレを使わせてもらおうと思ったらそんなものはないという。じゃあ、どうするのだと聞くと、店の裏を指差した。外された扉の裏手には3段ほどの階段があり、そこから向こうは広大な原っぱになっていて遠くのほうには潅木の茂みが見える。その広大な原っぱに見渡すかぎりありとあらゆるゴミが散乱している。ここはゴミ捨て場兼トイレということなのだろう。何せ店の階段には戸がないので遠くに行きたかったがそこはもう足の踏み場もないほどのゴミ・ゴミ・ゴミ。捨てられたトイレットペーパーこそ見あたらないが、それはインド人が水で尻を洗うというだけの話で、そこらじゅうがおしっこ・ウンコだらけと見て間違いないだろう。バスの出発も迫っているし、ここはもう近場でやるしかないと階段から二歩ほど離れた位置でずぼんを下ろして大地にキバりはじめた。

腹の調子は悪いがとにかく数時間我慢できる程度にはすっきりしないといけない。うんうん唸っていると、後ろに人の気配を感じた。インド人のおっさんと5歳くらいの子供がこちらを指差している。こちらはほんの2メートル先で尻を丸出しどころか、穴から排泄物を垂れ流しているまさにその状態である。頭にカッと血がのぼって殴ってやろうかと思ったが、なにぶんウンコ中だ。思いっきりにらみつけしっしっと犬を追い払うように手でやるとどこかに消えた。それも束の間、また違う男が顔を出して私を指差して何か話しかけてくるではないか。

『ワシはウンコ中じゃ! 二度と話しかけるな!』

とにかくちゃんと拭けたかどうかもわからないくらい適当に拭って立ち上がりとにかくチンポと尻をズボンの中に入れて彼のところに行ってようやくわけが判った。バスが出発していたのである・・・

元の位置に走っていくとそこにはもう跡形もない。500メートルくらい向こうだろうかはるか遠くにゆっくりと遠ざかっていくバスの姿が見える。
パスポートと貴重品は身につけているものの、それ以外は全てバスに残してある。このまま見送ったら二度と戻ってくることはないだろう。走ったこと走ったこと。不適切な表現だが気が狂ったように叫びながらバスを追いかけること5分、ようやくバスは私の姿に気付き停車してくれた。


とにかくほんの6時間のバス移動でこれだけ疲れたのは初めてのことだった。そんなこんなでバスがジャイプールの街に着いたときには日はとうに暮れてしまっていた。

テーマ : インド旅日記 - ジャンル : ブログ

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